第39回 環境副大臣 近藤昭一



6月28日、東日本大震災発生から約3カ月半が過ぎたこの日、近藤昭一環境副大臣に、日本の原発事故と環境エネルギー政策の関連性や中国の原発などについてインタビューをおこなった。また、中国にも詳しい近藤副大臣に、日中間の問題やその将来などについても話を聞いた。



中国の原発、万が一を考えて

――東日本大震災発生後、環境省の仕事も重みを増していると思いますがいかがですか?


今は本当に大変な時期ですが、重要な仕事です。東日本大震災では倒壊した建物のガレキなどの災害廃棄物が多く出ており、その量は宮城県では、通常発生する廃棄物の20年分以上にも相当するとも言われています。震災発生以前は普通に使っていたものですから、被災者の方々のためにもガレキという言い方はあまりしたくないのですが、なかなか適当な言い方がないのでいわゆる「ガレキ」という言い回しを使わせていただいています。このガレキの処理は環境省の仕事です。各被災地で何十年分もあるので大変な仕事ではあります。



汚染に関し把握している情報はすべて公開する

――東日本大震災発生後、中国をはじめとしたアジアの近隣諸国は日本の原発事故に注目しています。日本は、どのように正確な情報を伝え、国際社会への説明責任を果たすべきだと考えますか?


4月29日に第13回日中韓三カ国環境大臣会合が韓国釜山で開かれ、当時の松本龍環境大臣が東日本大震災対策の補正予算審議のため国会を離れられず、私が代わりに出席しました。中国・韓国ともに日本の原発事故やそれによる環境汚染に対する注目度は大変高く、また震災発生後、救助隊や救援物資を送っていただいていましたので、感謝の言葉を申し上げさせていただきました。そして日本政府としては現在把握している原発事故に関する情報はすべて公開するということと、この震災に当たって事後総括したその情報も共有していきたいと申し上げました。

今回は日本ですが、それ以外の国であっても、汚染を伴う事故が発生すれば大気や海を通じて汚染の影響が出てきますので、今後このような事故における環境破壊に関しては日中韓協力して対処しようという話し合いをしたのです。


原発の停止で増える温室効果ガスの排出解決

――以前、原発はエコであるという考え方がありましたが、その点はどう考えていますか?


日本が目指す温室効果ガス25%削減という目標を達成するために、原子力発電は重要な方策と位置づけられていましたが、実際現在では、福島や浜岡の原子力発電所は稼働していません。それに替わるエネルギーとして石油やLNG(液化天然ガス)が使われているので、削減目標の達成は容易ではありません。環境保全の立場にある環境省としては、原子力発電所を停止することで温室効果ガスの排出が一定程度増えるということに関して、どのように対処するのか考えなければなりません。


――中国は、慎重になりながらも原発の建設を続けていく方針ですが、中国の原発建設は続けていっても問題ないと考えますか?


 原子力の問題は日本でも議論している最中であり、すぐにやめるのか、時間をかけてやめるのか、継続していくのか、いろいろと意見はあります。しかし、私は、いずれにしても再生可能エネルギーを増やすべきだと考えています。日本は狭い国土に多くの原子力発電所があり、地震も多いですから、この状況を考えると原子力による発電は非常に難しい側面を持っているといえるでしょう。

中国の状況はよく分かってはいませんが、万が一のことは起こりうるという観点に立って行動していかなくてはいけません。

  

日本ができることがあれば協力したい

――中国の環境問題は深刻です。中国の環境問題をどう見ますか?


 私は81~83年に中国へ留学していました。当時、日本の経済はすでに発展していて、中国の改革開放が始まったのは78年ですからまだ始まったばかりです。私が知り合った中国の方々はみな「日本はすごい」とおっしゃっていて、日本の物質文明への憧れを感じました。ですが、物質文明が発展するにしたがって失っていくものもあります。そのころ、中国の方々とお話をした際には、「その点については注意したほうがいいですよ」といわせていただきました。その失うものの一つが環境なのです。当時から、中国が発展していく中で、環境破壊が起こらなければ良いがという懸念はありました。

私には中国の人々には日本やその他の先進国の事例に学んでほしいという考えがあり、今年の1月には北京で李幹傑環境副部長とお会いし、その時、「日本では水俣病などの環境問題がおこりました。中国の事情は良く分かりませんが、報道等では中国でも環境問題が発生しているということですので、環境問題の解決にあたっていただきたいし、日本ができることがあれば協力したい」と申し出ました。



――中国の環境問題は、だいたいあと何年ほどで解決し、落ち着くと思われますか?


 日本でも環境問題というのは必ずしもまだ落ち着いていません。これは本当に大変な課題だと思います。ただ最近は、技術的な進歩や、人々の環境に対する考えの変化などによって環境は良くなってきていますから、日本の国内においては大気もきれいになってきています。中国がどれくらいで環境問題を解決できるかというのは、中国の今の環境問題をきちんと分析できているわけではないので、はっきりとは言えませんが、私は、中国の国民のみなさん1人1人がきちんと意識を持って、政府も環境問題の解決に正しく予算を使って進めていけば、解決していけると思います。ただ、中国は国土が広いので大変ではあるでしょう。



発展しつつ環境を守っていくこともできる

――日本では水俣病など後々訴訟になった問題も出てきましたが、中国でも同じようなことが起こると思いますか?


 政府も国民のみなさんも、きちんとした意識を持っておられればそういったことはないかとは思いますが、気をつけていただきたいことは、こうした問題はどうしても「経済発展か環境保護か」ということになってしまいがちなことです。経済を発展させつつ環境を守っていくことはできますし、かつて厳しい排ガス規制に適合する自動車を開発することで日本の自動車産業が大きく成長した実績もありますので、そこには是非注意を払っていただきたいと考えています。日本では環境問題はずいぶん落ち着いてきましたが、温暖化の問題などに関しては、やはり25%削減することに対しての反対の意見は根強く、いまだに「25%も削減したら経済の発展にブレーキをかける」という声もあります。しかし、政府に対しても国民のみなさんに対しても、こうした意見に押されることなく環境問題を是非注意して見ていてほしいと思います。



インタビュアー:『月刊中国NEWS』 編集長 張一帆


『月刊中国NEWS』 11年09月号掲載