
実力派歌手としてアジア圏を中心に絶大な人気を誇る那英(ナー・イン)の初来日コンサート「那英デビュー20周年ワールドツアーin東京」が2010年12月21日(日)東京・中野サンプラザにて開催された。
ナー・インは中国遼寧省瀋陽市出身の女性歌手で、満族の葉赫那拉氏氏族(西太后が出た氏族として有名)の出身。1991~1996年にかけて40曲の映画・テレビドラマ主題歌を提供、これまで「全国十大最受歓迎歌手賞」「全国映画テレビ最佳歌手賞」「音楽貢献成就賞」など数多くの賞に輝いている。また、テレビ・映画出演をはじめCMイメージキャラクター出演も多数しており、「中国版セックス・アンド・ザ・シティ」とも呼ばれ中国全土で大ヒットしたテレビドラマ『恋・愛・都・市 恋がしたい(原題:好想好想談恋愛)』では、主演も務めている。
結婚と出産で暫く芸能活動を休止していたナー・インだが、デビュー20周年を契機に活動を再開。2009年12月31日北京公演を皮切りに、多くのファンが切望していたワールドツアー「那英デビュー20周年ワールドツアー ~那20年世界巡回演唱会~」を開始した。
中国ポップミュージック界のクィーン級シンガー、ナー・インが初来日コンサートを開くということもあり、当日は日本だけでなく、世界各地から、ナー・インの歌声を聴きに大勢のファンが集まった。ほとんどが中国人の観客で、会場では中国語が飛び交っていた。年齢層は10代~60代、こんなに幅広い層から支持されている歌手は中国広しと言えど多くはないだろう。
まずはバラードの名曲、『悲しいロマンチック(原題:心酸的浪漫)』『いつもあなたを想っている(原題:為[イ尓]朝思暮想)』の2曲を伸びの有る歌声でしっとりと歌い上げ、観客を魅了。そして、『船(原題)』では、中国竹笛・二胡の第一人者として日本で活躍している王明君(ワン・ミンジュン)氏も登場し、見事なコラボレーションを披露。天使のような歌声に美しい中国竹笛の音色が混じりあい、会場中がその幻想的な世界に酔いしれた。続いて、デビュー当時の名曲で、ナー・インを一躍有名にした『動かぬ山 流れる水(原題:山不転水転)』『霧中の花(原題:霧里看花)』を熱唱。20年間、ナー・インの曲を聴き、ナー・インと共に成長してきた中国のファンたちは、きっと当時のことを想い出したのだろう。一緒に口ずさむ観客も多く、会場のボルテージは最高潮に。そして、80年代に中国で大流行した『葉っぱの思い(原題:緑叶対根的情意)』を、「在日中国人のみなさんが、毎日順調に、毎日楽しく過ごせますように!」と、日本で頑張っている中国人のファンたちへあたたかいメッセージを込めて贈った。そのほかコンサートでは、ナー・インの代表曲である『征服(原題)』や『天使なんかじゃない(原題:我不是天使)』、『夢からさめても(原題:夢醒了)』などを歌ったほか、元チャゲ&飛鳥、ASKAの『Girl』のカバー曲『会うよりも思い出に(中国語題:相見不如懐念)』に加え、山口百恵の『さよならの向こう側』を日本のファンのために、日本語で見事に歌い上げた。
「ナー・インの曲は何度聴いても泣ける」と多くの中国人が口をそろえて言うが、それはやはり、ナー・インの歌には魂があるからだろうと実感した、心温まるコンサートだった。


※コンサート&記者会見レポート詳細は、『Chinese STAR2月号』(2011年1月30日発売予定)にて掲載予定です。
取材:鈴木 基子 撮影:Akira Jiang